あたしの部屋にね、くまさんがいるの。くまさんが来たの。大きいけど、おとなしいの。とってもとっても静かでね、白くって大きなゴーストみたいよ…。「へえ、ほんとかい? やさしいくまさんだったかい?」 ええ、もちろんそうよ、あたしとなかよしになりたいって! それでねえ、あたしをやさしく抱っこしてくれるの。お布団よりふわふわな抱っこなのよ。「おや、パパの抱っこよりいいのかい?」 だってパパはくまさんみたいにふわふわじゃないもん。でもパパもすてきよ、パパも大好き。「よしよし、でもくまさんにはかなわないな。」
…ティリーの部屋に、ある晩突然やって来たくまさん。こんなに大きくていい匂いがしてふわふわなのに、ティリーにしか見えないようです。いくつもにコマ割りされた色鉛筆の優しい筆致の絵が、ティリーのくまさんへの想いをふんわりと物語ります。そして、少々戸惑いながらも、そんな彼女と一緒にくまさんの姿を共有しようとする両親たちの姿がまたすてき。この両親たちのような目で子どもを見守れるおとなでいたいものだと、切に願います。読み聞かせをすれば子どもたちと一緒にあたたかな夢の時間を過ごせる、ユーモラスでありながらもちょっぴりせつなさの残る一冊です。 (あしたはいい日さん -・絵本紹介サイト )
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