日本の知力を試そうとやって来た、唐の詩人白楽天を描く《白楽天》、日本で捕らわれの身となった唐の人、祖慶官人の帰郷を描く《唐船》、唐から天竺へ渡ることを志し、春日の明神へ暇乞いに訪れた明恵上人と老翁とのやりとりを描く《春日龍神》…… 室町時代に成立し現代でも親しまれる演目を、当時の政治、思想、外交政策を念頭に、室町時代の日明外交と能狂言との関係について考察。今までにない新たな視点で能狂言を読み解きます。
【目 次】 はじめに 第一章 《白楽天》―華夷秩序を拒絶 第二章 《放生川》―朝鮮撃退の祝賀能 第三章 《唐船》―遣明船再開の予祝 第四章 《呉服》―外交方針転換を賛美 第五章 《善界》―混血二世の葛藤 第六章 《岩船》―日本中心型華夷観 第七章 《春日龍神》―最高聖地としての日本 第八章 狂言《唐相撲》―異国趣味の政治学 おわりに 参考文献 索引
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