小津安二郎は里見クの小説をよく読み、「映画のシナリオのねたに」し、「良き友」となった。原作と銘打たれた表題二作に加え、「晩春」を見た里見が「原作料の半額くらいは貰ってもよさそうだ」と小津をからかったという「縁談窶」など中短篇、さらに小津を追想したエッセイを収録。文庫オリジナル。 〈解説・武藤康史〉
目 次 T 彼岸花(1958年) 秋日和(1960年)
U 「晩春」をめぐって 縁談窶(1925年) (参考)父と娘(広津和郎、1939年)
V 「戸田家の兄妹」をめぐって 帽子(1937年) アマカラ世界(1937年)
W 弔辞「小津君よ、さやうなら」(1963年) 小津君と鎌倉と私(1964年) 芸の蟲(1972年)
解説 本当は「原作」とは言えないが…… 武藤康史
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