1973年に創刊された版画芸術は、本号で創刊50周年・第200号の刊行を迎えました。「版画」という単一のテーマで刊行されてきた本としては、世界でもほとんど例のない、かつ最長の季刊誌となります。 創刊当初、日本の美術界は「版画ブーム」の真っ最中で、多くのコレクターと版画を取り扱う画廊が全国的に増えた時期でもあります。活況に沸く版画業界の中で、小誌はとりわけ同時代の版画を「現代版画」と呼び、多く紹介してきました。 しかし、「現代版画」は、制作時期や作品傾向から傾向が規定されている「浮世絵版画」「創作版画」「新版画」とは異なり、一言で言い表すことができないほどの多様性に富んでいます。そこで、本特集では「現代版画の名作100選」と銘打ち、戦後から2000年頃までの、約50年間に制作された版画の中から、各年代における名作と考えられる100点を編集部で選定することで、未だ評価の定まらない「現代版画」について、一つの見方を提示しています。 戦後、国際展でいち早く評価され、日本の特色を世界に打ち出したジャンルである版画。本特集では100点の版画を辿りながら、50年間の「版画芸術」の内実を回顧します。
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