ヘーゲル哲学の集大成! 『エンチクロペディ』第三部
改めて精神とは何か。「第一篇 主観的精神」「第二篇 客観的精神」「第三篇 絶対精神」の構成のもとに、個人の欲望・理性・想像力から法・道徳・国家そして芸術・宗教・哲学まで人間精神の全営為を総攬するヘーゲル哲学の精髄。
論理から自然へ、自然から精神へと続く三大領域を眺めわたしてみると、第三部『精神哲学』に至ってヘーゲルの思考が格段とゆっくりとのびやかに、また確信に満ちて前へと進むのが見てとれる。ヘーゲルの目には現実が有形無形の災厄や困難や矛盾をかかえつつ、生き生きとゆたかな未来へと前進していく道筋が見えていて、その躍動のさまをかれは「人間精神の発展」ととらえたのだった。初期の『精神現象学』以来、息をつめるようにして、個人の、社会の、人類の精神を追いかけてきたヘーゲルにとって、同時代の市民革命も産業革命も近代国家の形成も、人間精神の可能性の顕現以外のなにものでもなかった。(訳者「新装版あとがき」より)
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