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鉱物で描く元素のものがたり。結晶を愛する著者が、元素の姿を求め、岩塩の結晶をハンマーで極小まで割り、庭で鉱石を熱す。するとみえてくる、元素・原子の世界。この世はぜんぶ原子でできていて、それは90種類ってほんと?石といっしょに考えよう。美しく、ちょっとかわった元素の本です。有機化学者でもある著者の実験魂あふれる一冊。石ころと元素の世界のたしかな結びつきを、子どもたちに届けます。
世界は「小さい粒」でできていることを、身近な素材「石」「金属」を使って説明してくれる科学の本。
2022年刊行。筆者は化学の専門家。科学の知識がない人でもわかるように、表現を工夫しているところが素敵だ。
石の性質を、「〜するくせがある」と言ったりするので、なんだか石が漫画のキャラクターのように性格や主張があるような気がしてくる。
きれいな鉱物の写真がたくさんあり、見とれてしまう。
実験のページもあり、砂鉄から鉄を取り出したり、昆布からヨウ素を取り出したりする。ものすごく手間がかかる作業であることがわかる。工場で効率的に処理できることのありがたさがわかった。
人間の時間の感じ方と、鉱物の時間の長さ(鉱物は時間を感じているのか?)がまるで違い、遥か遠い昔の事や、ものすごい長い時間をかけて鉱物が今の形になったことなども語られていて、壮大な気持ちになる。
なんとなく見ているだけだった石が、大昔から生きている大先輩や大魔法使い、賢者のように見えてきて、ファンタスティックだ。
大人になっても、こういう楽しい本が読めて最高だ。
大人になっても、情熱を失わず、ますます研究に没頭して、いろんなことを親切に教えてくれる筆者のような人がたくさんいて、本当にいい時代に生まれたなあと思う。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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