ある日、お菓子工場で次々につくられていくおせんべいの中の一枚が、目をあけます。出来たてほやほやのおせんべいくん、透明な袋に入れられます。
ところが、おせんべいくんは見てしまったのです。カラフルで可愛い袋や箱に入れられているほかのお菓子たちを。
「とうめいで かわいくない ふくろは つまらないよ。」
自分にはもっと似合う袋があるはずと、おせんべいくんは工場を抜け出し、町にあるスーパーマーケットに行き、自分にぴったりな袋や箱がないか探してまわるのでした。そんな時、出会ったのは、一軒の素敵な洋菓子屋さん。そこで目にしたのは……?
主人公は、一枚の普通のおせんべい。けれど、自分の姿とまわりのお菓子たちの姿の違いに気づいてしまったことから、自分探しの大冒険が始まっていきます。妥協することなく、自分の可能性を追求していくおせんべいくんの姿は、頼もしくもあり、愛着もわいてきます。
「自分らしさって、なんだろう」
答えを見つけるのは、誰にとっても難しい問題。けれど、たくさんの世界を見ていくなかで、思いもよらない発見があるはずです。最後のおせんべいくんの顔、いい表情ですよね。
ずらりと並んだお菓子やパッケージの細かい描写、愛らしいお菓子のキャラクターたちも魅力的な一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
おかし工場では、つぎつぎとのりせんべいができあがっていきます。その中の一枚が目をあけました。できたてほやほやのおせんべいくんです。おせんべいくんは、とうめいなふくろに入れられました。 ところが、カラフルでかわいいふくろやはこに入れられているほかのおかしを見て、「とうめいでかわいくないふくろはつまらないよ。ぼくにはもっとにあうふくろがあるはずだ!」と、おかし工場をぬけだしました。 町にやってきたおせんべいくんはスーパーに入りました。スーパーに並ぶおかしを見て、自分に似合うふくろがないか、想像してみました。ところが、おせんべいくんにぴったりなものは見つかりません。 ほかのお店に探しに行こうとしたとき、おせんべいくんは道路わきのみぞにはさまってしまい……。 かわいらしいおかしのパッケージや細かいイラストが魅力の一冊です。
透明の袋のおせんべいくんが、自分に似合うオシャレな包装を探して旅するお話。
おせんべいの袋に着目するなんて、発想がとてもユニークだと思いました。
おせんべいくんが自分に似合う包装を考えたり、海苔でオシャレをしたらと想像するところは、かなりたくさんのアイディアが盛り込まれていて、とても楽しかったです。
最後、おせんべいくんは今のままの自分でもいいんだと気付ける結末は、子どもたちにも理解しやすそうで、ステキだと思いました。 (ちびっこおばちゃまさん 40代・その他の方 男の子5歳)
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