この絵本は、2017年7月5日に九州北部豪雨で被害を受けた 福岡県朝倉市杷木志波 (はきしわ) ・平榎 (ひらえのき) 地区が舞台になっています。?著者が現地の方との出会いを通じ、滞在し、子ども達や地域の方々と語り合い、その中で物語が生まれていきました。??人は生きていく中で、思いもよらない不安や絶望・突然の痛みに出会うことがあります。一人ではどうにもならないと感じてしまうこともあるでしょう。?そんなとき、だれかとの「出会い」に支えられ、新しい物語が紡がれていく。そしてまた新しい出会いが起きる。まるで星を辿り、航海をするような。 ?くまとかきのみの物語を通して、ともに寄り添い、感じ合あうことを改めて、あなたと分かち合いたいと思っています。?この物語があなたを支える心の杖となりますように。
大雨で家を壊されたクマと、流されてきた柿の実が自分の家を探して山に登っていくお話です。
この変わった組み合せと、ひたすら居場所を探す姿に不思議な感銘を受けていたら、あとがきを読んで愕然としました。
2017年に起きた九州北部豪雨で被災した、里山の景観再生への復興プロジェクトから発想したということなのです。
この大雨で、山崩れ、川の氾濫が起こり、家の倒壊で犠牲者も出たということです。生活を支えていた農地も失った方もいるとのことです。
住人も半減してしまったという地域での、復興への思いはいかほどでしょう。
その直向きな願いを、クマと柿の実が象徴的に体現しているのでした。
この絵本は、近年頻発している大災害で被災した地域とそこに住む人たちの思いにつながるところがあると思います。
クマと柿の実は、苦労の末に居場所を見つけました。
それが被災した人々の願いであり、祈りでもあるのでしょう。
クマと柿の実が、山なみに沈む夕日を眺めるシーンは感動的です。
安らかに眠りにつける場所を、二人は見つけました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
|