「あれ?」 「あれって、いじめかな?」
主人公は「いじめを見た子」。 ちょっとこわかったけど、いじめているように見える子に「どうして、そんなこと するの?」ときいてみた。その子が言うには「あそんであげてるだけ」。
いじめられているように見える子にもきいてみた。 その子は「ぼくは だいじょうぶ」といってる。
でも……ほんとうかな?
おにいちゃんに学校で見たことを話してみると、おにいちゃんは教えてくれた。 「だれかに なにかをされて、つらいこが いたら、それは『いじめ』だよ」ということ。 そして「だれかがつらくなるようなことを『やってもいい』とおもうのは、 『シンキング・エラー』=『まちがった かんがえ』」だということ。
主人公が「いじめている子」でも「いじめられている子」でもない、「いじめを見た子」というところが重要なポイントとなる本書は、いじめ予防のカギを握っているのが「傍観者」であるということを教えてくれます。欧米で成果を出しているいじめ予防プログラムの8割は「傍観者教育」なのだそうです。
大事なのは、本書でもたびたび登場する 「どんな りゆうがあっても、いじめられていいひとは ひとりもいない」 という真実を誰もが疑うことなくしっかり認識していくこと。そしてその認識の元に行動していくこと。目の前で起きていることをおかしいと思って行動する人が増えれば増えるほど、いじめを止めることができるのです。
物語の後には、子どもたちが覚えておきたい、いじめをふせぐあいことば「や・は・た」についても分かりやすく紹介されています。巻末には、「なぜ、いじめ予防に「科学」なのか」、「効果のあるいじめ対策は「傍観者教育」」など大人に向けた詳しい情報も掲載されていますので、大人の方が手に取られた時にはぜひ巻末までじっくり目を通していただくことをおすすめします。
本書を作られたのは、公益社団法人子どもの発達科学研究所所長であり、いじめ予防の専門家である和久田 学さん。なかなかなくならない「いじめ」に対して、予防に「科学」を取り入れるという新しい希望を示す一冊です。ぜひ大人の方から子どもたちに読んで聞かせてあげたり、子どもたちが手を伸ばせる場所に置いてほしいと思います。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
いじめ予防の専門家がつくる、エビデンスに基づいた いじめ予防教育えほん
・子どもを被害者にも、加害者にもしないための一冊 ・本当に効果のある、いじめ予防法がわかる ・5歳からの入学準備、クラスでの読み聞かせにも
お子さんの成長とともに「いじめ」が身近に感じられて、不安ではありませんか。本書は、科学的根拠に基づくいじめ予防法を物語に織り込んだ絵本です。いつ・どこで・だれが行っても同じ効果が期待できる「本当に効果のある、いじめ予防法」を親子で学びましょう。巻末には、より詳しい大人向け情報ページを収録しています。
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