ピンクの屋根の大きな塔のある建物に、みならい魔女の小さな女の子達が暮らしている・・・ そんな設定だけでワクワクしてしまいますね。どんな魔法の世界が待っているのでしょう? 主人公の魔女デイジーもやっぱり魔法の練習真っ最中。 でも例え乗っていたほうきから落ちたとしても、吹いている風の気持ち良さについ歌い出してしまう 天真爛漫で魅力的な少女です。 その小さく可憐な姿に見とれていると、対照的に不機嫌で一匹狼でまっくろなはねをもつ 鳥ズズーと出会います。一見かみ合っていない二人のやり取りですが、やがて思わぬ瞬間が訪れて・・・。 それはとってもさりげなく小さな出来事、でも確かに存在しているのです。 二人の世界を大きく動かした優しくて素敵な魔法が! 最後のページを見ていると、読んでいるこちらの方の心まで満たされていくようです。 作者の植田真さんは装画や挿絵、広告など幅広く活躍されている方です。 自作絵本は本作で3作目ですが、すでにその独特な世界観に魅了されているファンが増え続けているようです。 登場人物の心情を表わしているような美しい白を基調とした透明感、清潔感溢れる色彩と、 小さなものや風景の繊細な描写がとっても印象的ですが、本作品では主人公デイジーの様な 優しく温かみのある雰囲気も増して、より小さな子にも寄り添う様な内容となっています。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
大きな森の奥深くに暮らす、みならいの魔女デイジーは、空をとぶ練習中に、ズズーという鳥に出会いました。天真爛漫な魔女デイジーと、不機嫌そうな鳥ズズーのゆかいで心あたたまる出会いの物語です。むずかしい呪文を唱える魔法でなく、だれもが心にもっているような、やさしくてすてきな魔法が描かれた絵本です。
※作者の植田真さんからのコメントをご紹介します!
魔女、鳥、ファンタジー・・・娘が好きなものがいっぱい詰まった絵本。きっと一目で気に入ってくれるだろうな、と思い、何か特別なときにプレゼントしようと、とってありました。
その絵本を手渡したのは、娘が大粒の涙をぽろぽろ流して悲しんでいた、ある日の夕方。玄関に巣を作っていたツバメが突然来なくなってしまった日でした。ツバメにお手紙まで書いて、楽しみにしていたのにね。少しでも娘の気持ちが明るくなるようにと願って、寝る前にプレゼントしました。
物語に出てくる鳥は、ツバメではないけれど、カラスのズズーと、まじょのデイジーが、娘の心に素敵なまほうをかけてくれました。
娘の夢は、空を飛ぶこと。2歳の頃からずっと変わりません。
見習いのまじょデイジーは、ほうきで空を飛ぶ練習中。早くもデイジーと自分自身を重ね合わせて読んでいます。
デイジーの歌う歌を口ずさみながら、心がどんどん軽やかになっていきます。本当に花びらといっしょに、空高く舞い上がっていけそうな気分。そして、デイジーが上手に風に乗った瞬間、娘の頬もぱっと輝きました。
デイジーとズズーが夕焼け空の中を歌いながら飛ぶシーンもすてきですね。
♪きづけば こころに はながさく♪
「みんな心にお花を咲かせられるんだよね。Jのお花は何かなあ? きっとコスモスかマリーゴールドだと思う! じいじは、あじさい。ばあばは、たんぽぽ。・・・」
悲しみに溢れていた娘の心にも、いっぱい花が咲きました。
ありがとう、デイジー、ズズー。
2人の心の交流も、とっても温かく、「おれたち、ともだち!」シリーズのオオカミとキツネのようです。これからも、2人の友情を見守り続けていけたらな、と願っています。 (ガーリャさん 40代・ママ 女の子6歳)
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