大人たちの戦争のさなかに 少年は困難な旅に出る…
一九三八年スペイン。 二年前に内戦が始まった後、 炭鉱で働いていたミゲルの父さんは 「民主主義を守る戦い」に 身を投じて、行方が わからなくなっていた。
十三歳になったミゲルは、 母さんとおばあちゃん、 幼い五人の弟妹たちを支えるため、 進学をあきらめて、 牛の世話をして働いていた。 そんなある日、炭鉱で父さんと いっしょに働いていた男が 村に戻ってきて、 父さんが二百キロ近く離れた町の 収容所に入れられているのを見た、 と告げる。
すると母さんはミゲルに、 「父さんのところへ 食べ物を持っていって。そして、 ここへ連れて帰ってきてちょうだい」 と言い出す。 そんなことできっこない、と思いながらも、 母さんや弟たちの勢いに押され、 ミゲルは忠実な犬だけを連れて、 一人、旅に出ることになった。 だがオオカミのいる森、 敵か味方かわからない放浪の兵士など、 道中は危険でいっぱいで…?
内戦時代に実際にあった 出来事をもとに、 スペインの実力派作家が描く、 家族の絆と、少年の 困難な旅と成長の物語。
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