家具にやどる、木の命のひみつ つるばら村には、こんなすてきな家具屋さんがあります。木々の生命力あふれる、12編のファンタジー。
光沢をはなつキリ、手ざわりがやさしいトチノキ、重いミズメ、かたいオノオレカンバ、弾力のあるヤナギ、あたたかなクルミ、木目の美しいクリ……。 さあ、これらの木々は、どんな家具に生まれかわるのでしょう?
つるばら村にある「青木家具店」は、注文家具をつくる家具屋さんです。お店の主人は、青木林太郎さん。奥さんの美樹さん、5歳の幹太との3人暮らしです。「青木家具店」には、ふしぎなお客さんが、いろいろやってきます。キツネ、ウサギ、イノシシ……、そして山の精や、木馬までも。 家具屋さん一家をめぐる、12編のファンタジー。
【あらすじ】
つるばらむらにある「青木家具店」でおきる不思議な出来事12話。
ご主人と奥さん、息子さんと、お客さん、関係者各位、そして材料となる木材と自然が、それぞれの物語を語ります。
【感想】
上質なファンタジーを堪能できます。
お話も素敵ですが、あとがきが私は一番好きです。このお話を書くにあたって、岩手県で実際に起きた出来事から、物語が生まれてきたいきさつが、本当に不思議なご縁としか言いようがありません。びっくりするようなことがかかれていますから、読者の皆様は、あとがきも楽しみにしてください。
物語を通して感じる、木や自然に対する深い愛情と洞察力、豊かな感性は、こちらの心を清々しく癒してくれます。いろいろなお話を読んでいると、優しい気持ちになります。物を大事にしようとか、ゆっくりでもいい仕事をしようとか、自然環境のことや命の大事さを改めて考えようとか…そういう殊勝な気持ちに、自然となれます。嫌味な感じや押しつけがましい感じが全然ない、道徳の本のような気もします。
子どもが読んでももちろんいいものでしょうけど、大人もぜひ。年齢問わず、大事なことをさりげなく教えてくれる、素敵なファンタジーです。こういう作品が書ける作者を知ることができて、幸せです。
同じシリーズでパン屋さん、旅館、養蜂家など、いろいろな物語が楽しめます。それぞれがなんとなくゆるやかにつながっていて、あっちにいったりこっちにいったりして、村の近所を行き来する体験ができます。ぜひ、他の本も一緒にお楽しみ下さい。お勧めします。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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