そっくりだけれど性格はまったくちがうふたごの物語。盗難事件にまきこまれたり、片方を好きになったお姫さまから誤解されたり、ゆかいなできごとの数かずに、力をあわせていどみます。
この本も脇明子さんの読み聞かせお薦めリストの中にあった本です。
オランダの作家さんのお話だそうで、タイトルにも作者にも馴染みがなく、自分としては何の予備知識もないまま息子に読み聞かせをしたところ、これがとてもおもしろいのです。
二人の性格の異なる双子の兄弟が、別れ道で別々の道を選び、選んだ職業が貴金属細工師と泥棒というのが、導入部になります。
貴金属細工師の方はともかくとして、泥棒を選んだ男の子の行く末が気になりませんか?
上下巻の長いお話ですが、章ごとでお話が完結しており、どの章のエピソードもハラハラしながらも楽しく読めます。
一人のお姫様に2人が恋をする「ダイヤモンドの燭台」のお話は思春期ならではのお話だなあと思いました。
「なぞなぞの岸」というお話の中にこんな言葉がありました。「そなたには、自分自身にとって不愉快な状況を工夫して逆転する才能がじゅうぶんにある。」
困難な状況というのは、どんな人生にもつきものですから、そんな時どう機転や知恵で切り抜けられるか、そんな醍醐味もこのお話の中にはあります。
息子に読み聞かせをしている途中で、出勤前の夫が続きが知りたくて思わず話に耳をすませるなんて場面もわが家ではありました。
岩波少年文庫は子どもたちにあまり読まれなくなっていると聞きますが、こんなおもしろいお話を読まずに子ども時代を過ごしてしまうのはもったいない気がします。
大人が先におもしろさを知り、子どもに伝えたい一冊です。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子10歳)
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