歿後なお新たな読者を獲得し、読み継がれつづける安房直子。本短篇集は、小社の雑誌「母の友」「子どもの館」に発表された作品のみをあつめ、刺繍による美しい絵を挿んで編んだものです。 白いおうむのみちびきによって、死後の世界で姉さんと会う女の子。くじゃくの化身たちにそそのかされ、世にも奇妙な布を織ることになったはた織り。けんけんをするうちに、うさぎに吹雪のなかへとさそいこまれてしまった女の子。白ねずみに針さしを貸してやったおばあさんや、猫といっしょに魚とりをするはめになったおばあさんの夢のあと。まっ黒なネコが裏地屋さんにたのんだ布の色とは……。どのお話も、一風変った動物たちが、ひとりの時間を過している子どもや大人たちを、ふしぎな世界へといざなっていきます。 さみしくて、あたたかく、かなしくて、でもうれしい、すきとおるような味わいの童話集。これまで単行本未収録だったエッセイ「絵本と子どもと私」も収載。
安房直子さんの本は高校生ぐらいの時から買い集めていて、今も持っています。
絶版本もかなり持っているし、この本に収録されているお話も読んだことがあるのですが、単行本未収録のエッセイがあるということで、ついついつられて買ってしまいました。
エッセイ「絵本と子どもと私」を読んで、やっぱり買ってよかったなあと思いました。
このエッセイ、安房さんが息子さんに読み聞かせをしていた時のことが書かれていて、現在子育ての中でどんな風に読み聞かせをしたらいいかと思っておられる親御さんの指針にもなりそうだと思いました。
エッセイのことばかり書いてしまいましたが、収録されている童話はどれも安房さんらしい珠玉の作品だと思います。
安房さんファンの私としては一人でも多くの方に、安房さんの作品を読んでいただきたいという思いでレビューを書いています。
秋には「ひぐれのラッパ」も刊行予定だということで、こちらの方も楽しみにしています。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子8歳)
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