公害のためにすっかり様変わりした足尾銅山のそばで、頑固なじいさんが焼物を始めた。
ガンジイと呼ばれる頑固者のじいさんは、焼物には適さぬ土で、売り物にもならない焼物を作り続ける。
その名も公害焼。
およそ観光名物になりえない作品を創り続けるのは、足尾銅山の公害対策を訴え続けた田中正造の生き方に感銘を受けたからでした。
鉄道写真を撮るために訪れた良太、正体不明の少女アキノ、暴走族の落ちこぼれ青年赤毛のアンがドラマを展開します。
廃坑になった足尾銅山、第三セクタになった鉄道、時代に埋もれていくような場所ですが、日光に近いこともあり、息子は小学校の修学旅行に訪れた場所でもあります。
公害問題という社会問題は、少し身近ではなくなってしまったかもしれませんが、高度成長期時代の病巣は改善されたわけではありません。
児童向けに書かれた物語の中で、長崎源之助さんは熱く語りかけています。
この本が絶版というのはさびしい気がします。
長崎源之助さんの訃報を新聞で見かけて、未読の書籍を探し始めました。
戦争、原爆、公害、…。
社会をしっかりとした視座から捕え続けた長崎さんの作品を、埋もれさせてはいけないように感じています。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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