『世界中のこどもたちが』の歌詞などで知られる新沢としひこさんが、『版画 のはらうた』の保手浜孝さんの挿絵で綴ったお話絵本。 ウサギのピッチは、ゆうびんやさんのコージーおじさんにくっついてお手紙を届けて歩くうちに、自分もお手紙を欲しくてたまらなくなってしまいます。ピッチはおじさんにすすめられたとおり「お手紙が欲しいなら、まず自分から書いてみる」ことにしました。すると今日の配達は終わったはずのおじさんが、すぐにピッチが書いた手紙を届けてくれるのです。 ウサギの子どもの気持ちをやさしく汲んでくれるゆうびんやさんが終始とってもジェントルマン。山口県のアトリエで制作を続けていらっしゃる保手浜さんの版画は、懐かしくあたたかい空気感に満ちていて、眺めると笑顔になるページばかりなのですが、とくにコージーおじさんの雰囲気にはすっかり魅了されてしまいました。絵本制作はまだ数が少ないので、保手浜孝さんの版画世界を味わう意味でも本書はおすすめです。 目の前にいない「誰か」のことを思って、文字を綴り、投函して、お返事を待って。そんな幸せ・・・思い出してみたいですね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
ウサギのピッチは、ヤギのゆうびんやさんと一緒に森の仲間の家を回ります。みんなお手紙をもらって大喜び。 ピッチはお手紙をもらったことがないので、うらやましくてたまりません。「ぼくもお手紙ほしいなあ。」 すると、ヤギのおじさんが、「まず、自分でお手紙を書いてみるのはどうだい」というので、 「あした、ぼくのうちにあそびにきてね」と、みんなにお手紙を書きました。 すると次の日、みんなが遊びに来てくれたのです。うれしいなあ。でも、ほんとうは、ぼくもお手紙がほしいなあ‥‥‥。
うさぎのピッチが遊んでいたら、ヤギのコージーおじさんが
通りがかります。コージーおじさんはゆうびんやさんで、
みんなにお手紙を届けるのがお仕事。
おもしろそうなので、ピッチはおじさんについて行きました。
手紙をもらって嬉しそうなみんなの様子に
ピッチは「ぼくにはないの?」って聞きますが、
コージーおじさんのカバンにはありません。
お手紙が欲しいなら、誰かに書いてみたらって
コージーおじさんが言うので、ピッチはみんなに
「あした遊びに来て」って手紙を書くのです。
そういえば、手紙って出さないと来ないのはもう知っているけど
子供の頃、どこからともなく送ってくるように思ってました。
出しても嬉しい、もらっても嬉しい。
保手浜さんの版画な絵柄はとってもあったかくて
お話にぴったりですね〜♪ (わにぼうさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子5歳、)
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