動物と話せるお医者さんとして有名な「ドリトル先生」シリーズでおなじみ、ロフティングによる「タブスおばあさん」シリーズ第2弾。
第1弾の『タブスおばあさんと三匹のおはなし』で、動物たちの活躍により、無事農場の家に戻れたタブスおばあさん。しかし今回はその家に大風が襲い、家は壊れてぺしゃんこに。またしても住む家をなくしてしまったおばあさん。さあ、またお馴染みの動物たちがおばあさんのために奮闘します。タイトルにあるトミーとティリーは第1弾を読んだ人には、だれのことか分かるかな?こちらは、水ネズミの王様とツバメの女王の名前で、第2弾でも三匹から依頼を受けて、おばあさんの家のために大活躍!トミーとティリーは今回、どんな働きをしてくれるのでしょうか。
おばあさんと長年一緒に住んでいる犬のパンク、アヒルのポンク、豚のピンクの三匹も今回はさらに知恵をしぼります。三匹のやりとりの様子は相変わらず人間のやりとりのようで、おばあさんに壊れた家を見せたくないという気遣いまでする姿にはけなげで感心してしまいます。第1弾のお話よりも、それぞれの性格が色濃く表れているところもみどころの1つ。たとえば、パンクは行動家で勇敢な上、ポンクとピンクの間に公平に立つ役割をしていたり、ポンクは、おばあさんのそばにいることを何よりも優先する世話好きなおばさんのようだったり、ピンクに対してはあれこれ小言を言うお母さんのよう。そして豚のピンクは、他の二匹から食べることしか頭にない、と軽く見られているのですが、今回はそのくいしん坊の鼻が役に立ったり、機転をきかせたり、またおばあさんにキルトの毛布を探してくる優しさを見せたり、と大活躍するのです。そんなそれぞれに個性的な三匹ですが、はたして、おばあさんが安心する住まいを見つける(作る?)ことはできるのでしょうか。
今回のお話でも、直接おばあさんが動物たちと話をする場面は出てきません。しかし、不思議と通じ合っているような三匹とおばあさん。ドリトル先生のように動物語が分かるのかは謎ですが、長年愛情を持って一緒に暮らしていることで、もうお互いの気持ちが自然と分かってしまうのかもしれませんね。
家が壊れる、という大変な状況が描かれているにも関わらず、ところどころでくすっと笑ってしまうユーモアが散りばめられ、ほっこり温かくなるストーリーはさすがのロフティング。今回も水彩とペン画で描かれたユーモアたっぷりの挿画は、ロフティング直筆のものとなっています。挿画をじっくりながめながら読むとさらに楽しみが広がりますね。人間と動物の温かな交流をユーモラスに描いた「タブスおばあさん」シリーズ、「ドリトル先生」シリーズと一緒に、ぜひ本棚のお気に入りに加えてみて下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
ロフティングの未邦訳! 「タブスおばあさん」第2弾。 家を大風で吹き飛ばされてしまった100歳のおばあさんを、お馴染の動物たちが知恵を出し合って助けます。人間と動物の温かな愛をユーモアで語るお話は現代人必読。
ロフティング――ドリトル先生のお話を書いた人だけあって、これも動物と人間のおばあさん(100歳!?)の物語です。
ドリトル先生は動物の言葉を話しましたが、こちらは、動物たちがしゃべります。
農場に一人で暮らすおばあさんが、日課のお散歩に出かけるのですが、途中で雲行きが怪しくなり、大風が吹き荒れる! いっしょに暮らす三匹の動物―― 犬のパンク、アヒルのポンク、ブタのピンクは、おばあさんがつまづかないように、気をつかいます。三匹のおしゃべりを通して、それぞれのキャラがきわだっているのが、動物好きのロフティングならでは!
大風で家が壊れてしまい、家に住めなくなったおばあさんを、なんとか助けようと奮闘する三匹。特に、ブタのピンクには脱帽でした!
ロフティングの線描きの絵が、ほほえましいユーモアにあふれています。
年老いた一人暮らしのおばあさんを愛しむ動物の心と行動に、心が癒されます。
文字が多いのですが、小さな本なのと、きれいな日本語なので、平がなが読めるようになった小さな子に、ぜひ読んでほしいと思いました。
大人同士のプレゼントにも可愛いくておすすめ。 (candyさん 40代・ママ )
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