階段だらけの屋敷に隠された伯爵家の宝と、その宝を探す資格があるために屋敷にとらわれている男の子――。 伯爵家の秘密を知った新米教師フランス先生は、さだめか、はたまた偶然か、 予言の指し示すまま、奇妙な冒険をすることになります。 どんどん謎にひきこまれる、読みごたえたっぷりの物語。
良質の児童書です。さすが岩波文庫に収録されている物語です!!
いいお話って、ホントに最初の数行読んだだけで読み手をその物語の中に惹きこんでいくんですよね〜。この力はすごいものだと思います。
まず、タイトルがドキドキしませんか?そして裏表紙に書かれているあらすじ……。
おもしろいのはイギリスで有名な「マザーグース」のわらべ歌のように、この物語の軸となっているわらべ歌が、実際にオランダには存在していて、作者いわく、多くのオランダの子どもたちはみんなこの歌を知っているらしいんです。
♪知ってるかい、七つの,七つの、
七つのわかれ道を、知ってるかい?
踊れないのねって言われるけど。
私は踊れる、貴族のように。
これで一つ ♪
で、「知ってるかい」から「貴族のように」を何度も何度も繰り返しつつ、最後の「これで一つ」の部分が、「これで二つ」「これで三つ」……と増えていき、最後に「これで七つ」で終わるわらべ歌です。
とても不思議な歌詞ですね〜。
ここに肉付けされた物語もミステリアスで面白かったです。
一見すごくまじめなフランス先生(主人公)は小学校5年生の教師。先生になって、ある小さな村にやってきたよそ者です。
本人はいたって真面目な人ですが、実はとてもお話好きの冒険好き。
この作品では作中に登場する人たちの内面や二面性をものすごく巧妙に描きだし、それを上手に取り込んで語られていました。
フランス先生の本名は「フランス・ファン・デル・ステフ」。
先生でいるときはフランス先生であったり、ファン・デル・ステフ先生であったりしますが、冒険者の時は“赤毛のフランス”になります。
この、作者の描き分けがすごかったです!!
この物語は上下巻っ出ていますが。上巻を読むとすぐに下巻を読みたくなります。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子14歳)
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