ひつじの男の子のラリーは、遠くに住むおばあちゃんが泊りがけで遊びにきても、あんまり嬉しくないのです。 こんなことは誰にも言えない、でもどうしてなのでしょう。
おばあちゃんはラリーのことを「かわいい、かわいい」って何度も言うし、教会では大きな花飾りのついた帽子とスカートをはいて、誰よりも大きな声で歌う。おまけにきゅっ、きゅっ、きゅっと手を3回にぎって、秘密の握手をするのです。「だい・すき・よ」っていう意味なんだって。
なんとなくわかるかも。おばあちゃんはまるで自分の知っている大人たちと違うし、大好きだって何回も言われたら恥ずかしいし。なんていうか、自分のペースがくるっちゃう。
そんなおばあちゃんが帰るという前の晩のこと。ラリーが住む「ひつじがおか」に夏の嵐がふきあれて、屋根に穴があいてしまったのです。おばあちゃんったら、お茶なんか飲んで平然としてる。 「こわがってるひまなんか、ないわ。これから、やることがいっぱいあるのよ!」 そこからの活躍ぶりときたら…。
ラリーがすっかりおばあちゃんのことを大好きになってしまう、その間には何があったのでしょう。 子どもの素直な気持ち、心の動きを丁寧に優しく描き出した心あたたまる物語です。 読み終わった頃にはきっとみんなもおばあちゃんが好きになっちゃうはず。 『もう、おおきいから なかないよ』の作者ケイト・クライスとM・サラ・クライス姉妹による、 主人公の男の子、ラリーがとっても可愛い絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ラリーは、ひつじの男の子。遠くに住むおばあちゃんがとまりがけで遊びにくると、あんまりうれしくありません。だって、おばあちゃんはラリーを「かわいい」って何度も言うし、おまけにきゅっ、きゅっ、きゅっと手を3回にぎって「ひみつのあくしゅ」をするのです。「だい・すき・よ」っていう意味なんだって。ところがある日…。小さい男の子がおばあちゃんのことを好きになっていくようすを丁寧に描く、あたたかくやさしい絵本。
表紙の絵に惹かれ図書館で借りて娘に読み聞かせました。
初めての読み聞かせは私自身も中身を知らずに読むことにしています。
途中まで、絵本に出てくる子供が「おばあちゃん早く帰ればいいのに」というのが続くところは、なぜだろうね? って問いかけ乍ら(それは自分にも)読んでいきました。
突然、そのうちを襲った嵐。そのあと、おばあちゃんがとった行動、その姿を見て、おばあちゃんを好きになっていくのですが、おばあちゃんの行動は、あの震災とその後を思い出すと大変に感じ入る処がありました。その点は娘にも伝わったのかどうか・・・。
ちなみに、「きゅっ、きゅっ、きゅっ」の握手は英語ではなんて書いてあったのかな〜などとも考えながら読みました。
絵が大変丁寧で綺麗な本です。海外の作家の絵本なのに、なぜかちょっと昔の新幹線の形をした電車が出てくるところは、私としては懐かしく思いました。
震災から2年の今、ぜひ読んであげたい本であります。 (wakiさん 50代・パパ 女の子6歳)
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