畑からはみだしてしまった小さな白菜と、そばで見守る柿の木をやさしい眼差しで描きます。早く大きく育ってトラックで八百屋へ行きたいと願う小さな白菜。ですが、白菜は小さいために収穫されず、広い畑にひとりきり、残されてしまいます。なかなか大きくなれない白菜は冬を越し、ついに春を迎えます…。著者が実際に畑で出会った小さな白菜から生まれた心あたたまる作品です。
白菜が鉢巻を巻く頃にも
白菜大活躍の鍋物の季節が過ぎて−はる―「はるまっさかり」にも
大好きなこの本を読み聞かせに持っていきます。
好きなのは、トラックのおにいさん。
柿の木のように
ずっとそばで見守る人も必要だけど
八百屋に並ぶには規格外だった白菜に
トラックに乗れなくたって楽しみはあるよと教えてくれたおにいさん。
白菜の頭をぽんとたたいたその掌は
きっと大きくてあったかだったと思います。
以前、伸びすぎた春菊が黄色い花を咲かせ
あんまりかわいかったので
切り花にして飾ったことがありました。
野菜って食べ物としての生き方だけじゃなく
花を咲かす、種を残す、枯れて土の栄養になる…
いろんな生き方があって、
その一つ一つに喜びがある。
人の生き方もきっと同じ。
この本は絵も大好き。
おにいさんが、あたまをぽんとたたくところ
ほんとにやさしさ伝わるし
ひとり残されるページは、空がひろくひろく
独りぼっちを感じます。
雪はあんなふうに降り続くし
あふれるように咲くページときたらどうでしょう
もうまぶしくてまぶしくて、ひかりが飛び散るようです。
一昨日の晩
工藤直子さんの講演会に行ってきました。
講演後、本にサインをしていただいたとき
「『ちいさなはくさい』が大好きです」と言うと
直子さん「うれしーい!」と。
「おにいさんが大好きです」と言うと
これにも「うれしーい!」
私もお伝えできて、とても嬉しかったです。 (白井音子さん 50代・その他の方 )
|