うわあ、楽しい! こんな本があったなんてと、子ども大人も夢中になってしまうことうけ合いの、好奇心を刺激するダイナミックな仕掛け絵本です。
最初のページをめくってみましょう。小さな白いドアが待っています。それをそっとあけてみると、また外の風景が広がっています。あれ? なんで? 「そうぞうしてごらん、部屋のないドアを。きみは部屋の中にいる? それとも外?」さあ、あなたもこれで、不思議で不条理な世界への扉を開けてしまいました。
段のないはしご、注ぎ口のないポット、窓のない家、針のない時計、ネットのないテニスラケット、四角い車輪の自転車……こんなへんてこりんなもの、どうやって使うの? でも、もしこんなものがあったら、どうなるのかな? どういう使い心地だろう? と、イマジネーションがどんどんふくらんでゆきます。
ページの真ん中がぐるぐるまわって、人の顔や表情がつぎつぎに変わるようになっている絵、かわいいお人形さんが一瞬にして鬼に変身してしまうページ、高度なまちがい探し(難しい!)、森の魔女や動物たちが隠れている大木の隠し絵……。
ページをめくるごとに、ユニークでシュールな世界が広がります。「これが正解」というものがなく、見るたびに発見があるのもおもしろいところ。ページの上方にはミニパズルもついていて、これがシンプルながら難しい。カチカチの頭では到底とけそうにありません。
私のお気に入りは、黄金色の夕焼け空が広がるページです。「そうぞうしてごらん……」絵に添えられたこの一言で、空がまったく違った風景に見えてきます。さまざまなかたちがもこもこ絵から浮かび上がってくるのです。「見える!」と思ったとき、鳥肌がぞわぞわってたつくらい興奮します。
人間って見ているのに、見えてない、考えているつもりが、考えてないのかもしれないなあ、なんて思ってしまいます。「これまでそんなこと、考えたことがなかったよ!」というびっくりの連続を、ぜひ体験してみてください。
(光森優子 編集者・ライター)
部屋のないドア、段のないはしご、鍵穴のない錠前……。だまし絵や間違い探しや、パズルもいっぱい。想像力を刺激して、見たことのない世界に連れていってくれる、知的な絵本。
2005年Oppenheim Toy Portfolio 金賞受賞 2006年V&Aイラスト賞 ショートリスト選出
タイトルとカバーの絵を見て衝動買いした絵本です。
ちょっと不気味なところもあって、違和感が無いわけではないけれど、不思議さいっぱい夢いっぱいのからくり絵本でした。
いろんな事を想像すると、気持ちが膨らんでくる感じがします。
意外性で想像力を試されていると、創造力も培われてくるような気がします。
不思議な絵本でした。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
|