日本では、こどもたちは教育を受ける権利をもっている。 中学校までは義務教育で、 おとなはこどもを学校へ行かせる義務がある。 だから、6歳か7歳になると、日本のこどもは学校へ行き、 朝から夕方まで、さまざまな科目を勉強する。
ところが、 「学校へ行くな。行ったら殺す」
それが、おとなたちがマララ・ユスフザイさんに発したことばだった。 それでも勉強することを望んだために、マララさんは、銃で撃たれた。 この本は、マララさんの国境での演説をもとに、 教育の大切さをこどもとともに考える道しるべとなる一冊。
世界のどこかでいつも戦争があり、まずしいくらしをしている人たちがたくさんいる。 日本にも、まずしさはあるし、差別もある。虐待やいじめもある。 それをなくすのは、かんたんなことではない。
戦争はいけない、というだけでは戦争は止まらない。 差別はいけない、と叫ぶだけでは差別はなくならない。
しっかりと自分の考えをつくりあげ、 それを人にわかってもらえるようなことばにして伝えなければならない。 その方法を手に入れるために必要なのが、学校なんじゃないだろうか。
学校行くことが当たり前の子供たちに、世の中には学校に行けない子供たちもいるんだと言ってもなかなか理解はできないものです。
この本に説得力があるのはまず、国連で演説を行ったパキスタンの15歳の少女マララさんの言葉が載っているということ。同世代の子どもが発した言葉だからこそ伝わるものがきっとあると思います
次に、ページをめくるごとに世界各地の様々な環境にある子供たちの写真が載っているということ。話に聞くのと実際に目で見るのは感じるものが違うと思います。
後半は筆者が世界と国内の学校に行けない子どもたちの現状について綴っていますが、紛争地域の痛ましい現状や国内における虐待の事実などに触れているため読み聞かせをするときには十分な配慮が必要だと思われます。
それでも、子供から1歩抜け出そうとする学年の6年生にはぜひとも読んでもらいたい1冊だと思います。
本の中で「自分の言葉で考え、自分の言葉で気持ちを伝えることを少しずつでいい、試してみてくれたら嬉しい。 」と筆者は言っています。
コミニケーション能力が乏しいと言われがちな今の子供たが、この本を読んで少しでも自分の言葉で考えるきっかけになってくれたらと思います。 (バーモンターさん 30代・ママ 男の子10歳、女の子7歳)
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