中国、河南省鄭州(ていしゅう)で暮らす小学5年生の少女の日常。40代の父と母、母方の祖父母と共に集合住宅に暮らし、一緒にご飯を食べる。学校には制服がなく、みんなその辺の服を適当に選んで通学。父は仕事場に一人で暮らしていて、週末に会いに行く。将来、やりたいことはいっぱいある。遊ぶのが一番好き…
元気で、面白いことが大好きで、みんなに愛されている活発な少女だ。両親や友達、親類たちなどとの関係も良く、お誕生日にお祝いしてもらったり、クラスで人気者だったり、楽しそう。
両親の教育方針が明確で、無理がなく、のびのび成長できるよい環境が整えられている様子がわかる。
「学校で十分に学んで欲しい」「文化や芸術に関する知識も深めて欲しい」「自立心を養う」など、教育的な教えの他に、「おなかを冷やす冷たいものを飲むのはよくない」などの生活の知恵まで、様々な素晴らしい教えをたっぷり浴びて暮らせる。教育がきちんと良い形で機能していくと、こういう幸せな感じになるのだとうと思わせる。
もちろん中国人が全員このような暮らしをしているわけではないが、本当にいいものを見せてもらったという満足感が読後に残る。自由に意見をいったり、感情を表現したりして、たくましく生きていくこの少女は、きっと素敵な人生を歩めるのだろう。
日本と中国は、政治の世界などでいろいろもめることも多いが、「あとがき」にあるように、日中関係が冷え込んでしまっても、日本人の取材を快く受けてくれる人もある。メディアの報道ではなく、生身の人間として暮らしていく様子がよくわかり、隣の国に興味・関心をもって好きになれる一冊だ。