ぜーんぶ見開き絵で、登場人物がお話舞台の中をちょっと滲んだ和風の筆使いで現れると、どこか懐かしくて、どこかハイカラな頃の世の中を思い出します。画伯二俣英五郎の記憶とリンクできたのかなぁ。
化かし化かされ、きつねと人間のむかし話ではありません。
お寺のご住職と、そこに住む「きつねのおはなはん」と、ご近所のマンケはん夫婦とその娘おたみの、すったもんだの、いや不思議の人情ばなし。
一本の、ピンクの花柄パラソルが印象的に描かれます。きつねおはなはんの持ち物です。堂々と「きつね」と明かして登場するのも不思議ですが、人と違う、空気を読めないことが煙たがれる風潮が、今の時代と何ら変わらなく描かれていることにも、不思議を感じます。
「ああ、これは・・・」と、絵本の舞台に吸い込まれたまま、ページを覗き込んだ私です。日本人の心を、改めて思いました。大切なこと、忘れそうになっているのかも。
感謝。