この絵本の作者いわさゆうこさんは宮城県出身で、本のおしまいの「たまねぎのはなし」という文章に「子ども時代を過ごした東北の農家では、たまねぎを納屋の軒下につるして干していました」と書いています。
それを読んで思い出したのは、私の故郷のこと。
そこはたまねぎの名産地で、いたるところにたまねぎ小屋があったものです。
誰もが小さい頃から馴染みのある野菜、それがたまねぎだといえます。
たまねぎは子どもたちが大好きな料理、カレーとかハンバーグとかにも欠かせない食材で、料理によって切り方も色々あります。
くしがたぎり、みじんぎり、わぎり、…。
この絵本ではたまねぎの、こんな切り方まで描かれている徹底ぶり。
もちろん、色んな種類のたまねぎ、例えば「あかたまねぎ」とか「しろたまねぎ」とか「ペコロス」といったものだけでなく、たまねぎの仲間のねぎのことまで描かれています。
それも写真図版でなく、すべていわささんの手書き。
圧巻なのは畑一面のたまねぎの絵。
これ一枚の絵を仕上げるのにどれだけの日数がかかったのでしょう。
そういえば、たまねぎが丸くなるのも大層時間がかかります。
冬の前に苗を植えつけ、冬を越し、春になってようやく太りだす。
収穫は5月頃かな。
「だいどころに いつも あるんだ」、そんなたまねぎですが、そこにいたるまでとっても時間がかかっている野菜でもあります。