まず、表紙を見て、絵の魅力に圧倒されました。一目見て海外の作品とわかる、色彩鮮やかなスリランカの絵本です。
お話しは、傘を使ったことの無いキリ・ママおじさんが、町で傘を買って帰るのですが、コーヒーを飲んで休憩している間に、何度も何度も傘を盗まれてしまう、というお話しです。
でも、怒ったおじさんが傘泥棒をつかまえるとか、ましてや泥棒をやっつける、という展開にはなりません。逆に盗まれていた傘が見つかった時、おじさんは泥棒に「盗んでくれたおかげで傘のお店ができた」と感謝までするのです。そして、盗んだ傘のうち一本だけは、泥棒のために残しておいてあげるのです。何という、懐の深さでしょう!
絵本のサイズも大きめで、遠目の効く、はっきりとした絵、わくわくする展開&さわやかな読後感で、大勢での読み聞かせにも文句なしにおすすめです。
スリランカという国は、今までほとんどなじみがなかったのですが、絵本から感じられるおおらかさ、温かさにふれ、私にとってすごく気になる国に変わりました。
ウェッタシンハさんの別の作品も、どんどん読んでいきたいです。