2002年のコールデコット賞オナー賞受賞作品。
絵を描いたブライアン・コリアーは、2006年に「ローザ」でもコールデコット賞オナー賞を受賞しています。
原題は、Martin’s Big Words: the Life of Dr. Martin Luther King Jr.
物語は、キング牧師が小さい頃の出来事から始まります。
「White Only」という標識は、白人専用ということ。
その標識を見て、暗い気持ちになったときに、かあさんの語った言葉が秀逸です。
「あなたは いいこよ。
だれにも まけないくらい」
また、キング牧師のとうさんは、牧師であったとのこと。
そんな幼少を鑑みると、キング牧師に対する親としての教育が素晴らしかったのだと思わずにいられません。
幼い頃に心に届いた言霊が、後のキング牧師の力強い言葉の源になっている気がしてならないのです。
果たして自分は、そんなことを子供に語っているのか?考えずにはいられませんでした。
それからのキング牧師の半生が、象徴的な事件と、その時発した言葉とで綴られていくのですが、実にその言葉が心に響きます。
言葉の持つ力を、改めて認識することになる、そんな作品です。
正統派の伝記のスタイルなのですが、コラージュで描かれた絵は、とてもお洒落であり、しかも、骨太な印象です。
その一枚一枚に、キング牧師の力強い意志が感じられ、いつまでも魅入ってしまうことでしょう。
人種のるつぼを表現したステンドグラスが、ところどころに配されていて、実に効果的な演出を醸し出しています。
短い作品ですが、キング牧師を知るきっかけ以上になる作品です。
絵本と侮るかなれと声を大にして言いたい、小学校高学年以上に超オススメの作品です。