1981年にイメージの魔術師といわれた画家:エロール・ル・カインが描いたアラビアンナイトの世界。過剰とも言える豪華絢爛な絵が、異国の物語を盛り上げる。美しく、官能的な雰囲気は、むしろ大人向け。
アニメーションなどでお馴染みのアラジンの話。
魔法のランプは知っていたが、指輪の精やアラジンの母親などの登場人物が話を益々面白くさせているのに感心。毎晩、暴君に面白い話を語り続けたシェエラザード姫は、どんな気分であったのだろうか。2020年にこの話を読んだ40代の日本人女性(私)も、どんどん物語の魅力に引き込まれて、あっという間に読み切ってしまった。
話の魅力と、絵の素晴らしさで時間を忘れ、日常を忘れ、夢のようなひと時を堪能。当時の王様も、さまざまな苦しみや精神の不安定などから、救われたのではないだろうか。物語の力を存分に引き出した天才画家の素晴らしい絵を眺めるだけでも、不思議な世界に誘われて楽しい一冊。時代を越えて愛される絵本だ。