1983年初版の川端さんの昔話です。
川端さんの描く時代物の庶民は、みんな心優しく村の仲間のことを思いやっています。現実はそんなに甘くはなかっただろうなと思いつつ、ついつい引きつけられてしまいます。
水不足で、今生きているものも食べる物がない年に、土色をした赤ん坊が生まれて来たら?きっと、なにかのたたりだとか言われて、親は村八分になってしまうのではないかと思うのです。それが、この物語では、村のしゅうがつきそって、赤ん坊を山の泉に連れて行く。そんな村のしゅうの気持ちと、母親の子供を思う悲痛な涙が結果的に村を救うのです。
そんな、命を大切に、仲間を大切にする心を、今の私たちは忘れかけているなあと感じます。
川端さんの本は絵も話も魅力があるらしく、4歳の娘に読み聞かせているのに、長男も長女もよってきます。この本は、図書館に返そうとしたら、お父さんがまた借りて来て読んでいました。