ファージョンの作品は、昔から大好きでした。やさしいことばで、さりげなく物語の世界に連れて行かれる心地よさがなんとも言えません。
この本は、『ヒナギグ野のマーティン・ピピン』の中の一編が一冊の絵本となって刊行されたものですが、やはりなんとも言えないやわらかな暖かさが心に残る、とても読後感の良い本です。
ケーバーン山でなわとびをする妖精たち、眠ったまま素晴らしい飛び方をどんどん憶えていくエルシー、エルシーのなわとびの柄をさとうとアマンドのキャンディに変えたアンディ・スパンディ。読んでいる私達もその愛らしい光景をしっかりと思い浮かべることができ、すばらしいなわとび大会をすぐ目の前で見ているような気持ちになるのです。
私は特に、最後にちっちゃなおばあさんになったエルシーがなわとびを飛ぶために出てくるところが大好きです。「待ってました!真打登場!」という気持ちと共に、再び夢の世界に連れて行ってもらえるというワクワク感がやってくるのです。
5年生の娘がとてもお気に入りで、「何回読んでもいいわ。」と言っています。私はあえて「どこがよかったの?」とは聞きませんが、彼女もエルシーと一緒にケーバーン山でなわとびをしているのではないかと密かに思っています。