【内容】
夜中に起きた少年が、妙なお化けを見た。それは、かつて父が話していたうどん怪人。屋台を高速移動させつつ、方々のお客さんからの注文をさばく。少年とのらねこのねこ吉は、大量注文が入ったため、従業員としてかり出され…
夜中にうどんが是非とも食べたくなる、うどん絵本の傑作。
【感想】
見開きに、お品書きがあり、「かけ」「ざる」などの定番から、物語に出てきた妙なうどんまで全部確認できる。こういう本文以外の場所も、非常に楽しめる、工夫をこらした絵本だ。
絵も、下町の雰囲気と、温かみがあり、どんな場面でもうどんがおいしそうに出来上がっている。圧巻は、大量に注文があった時の場面。もうもうと立ち上る湯気が、画面から飛び出して顔にかかりそうな勢いだ。
また、つっこみどころも満載。いろんなお客さんが注文をしたうどんを食べる場面、ギャグやシュールなユーモアが効いていて楽しい。私は豚のお客さんが共食いしている場面が、一番強烈だった。他に選択肢はなかったのだろうか?
主人公は、夜中にトイレに起きて、うどん怪人に出会い、そのまま屋台を追いかけるのだが、肝心のトイレは大丈夫だったのだろうか?まあ、男子だから、その辺で済ませたのかもしれないが…本筋とはあまり関係ないところにも、つっこみどころを作り、読者を飽きさせず、楽しませようとする作者のサービス精神に感動した。
このお話は、何度読んでも面白い。ギャグマンガのような、明るく楽しい雰囲気がステキだ。
この作品で出てきたうどんのなかで、私は是非とも「一本うどん」を体験してみたい。どうやって食べるのが通なのか…店主に聞いてみたい。