子供にとってはかなりの大きさをもつ、濃いグリーンの絵本。小さいころから大好きで、忘れられない一冊です。
大きな本の大きな1ページが、「ふっても、」「てっても」と贅沢にたったひとことのために費やされる新鮮さに、おとなになったいまでも心が躍ります。
「せんせいのミス・クラベルは、なにごとにもおどろかないひとでした。」うん、そうだろうな。と思わされる、橋の欄干の上のマドレーヌの元気な姿に動じるふうもない先生のりんとした後姿!子供たちを信頼し、子供たちからも信頼され、そしてそれがつくりごとでないことが、「つくりばなし」の中なのに、現実以上に現実的です。こんな先生がいらっしゃったら、子供たちはきっと幸せですよね。
マドレーヌが主役のはずなのに、実はこの本ではそんなにマドレーヌのセリフはないんですよね。どちらかといえば描写が多いのに、なのにつまらなくない。説明的でもない。
きっと、その描写が「子供の視点」で書かれているからだと思います。だって大人なら、天井のしみをウサギと思うでしょうか?思ったとして、それをわざわざ本筋と関係ないのに1ページ割いて書こうと思うでしょうか?
子供の気持ちで書かれた、子供の目線の本であること、それがマドレーヌシリーズの人気のいちばんの秘密じゃないかなって思います。