私の実家に「えんぴつたろうのひっこし」という幼年童話があります。そのお話は、この「えんぴつたろうの三つのぼうけん」では、2つ目の話として収録されています。元々えんぴつたろうの話は独立した3つの話でしたが、この本では3つのエピソードが1冊に収録されています。
あるおうちの男の子が「えんぴつたろう」と名付けたえんぴつが、トランプのジョーカーに魔法をかけられて少しの間だけ動くことができたというお話です。えんぴつなので、その特性を活かして手紙を書くこともできます。
息子は「えんぴつがしゃべるのが面白かった。しゃべるわけないよねえ」と言っていましたが、えんぴつが話をする点がとても新鮮に思えたようです。
身近な物が動くというのは、佐藤さとるの得意としている世界で、私が子どもの頃は、えんぴつを見て「もしかしたら自分のえんぴつも動くかも」と考えたことがあります。「物を大切にしなさい」と大人はよく言いますが、自分のえんぴつがもし動くのだったら、子どもたちもえんぴつを大切にしようと思うのではないでしょうか。
えんぴつが冒険というとても親近感がわく話なので、ファンタジーを今まで読んだことのないお子さんにぜひ読んでもらいたいなと思います。