今、赤羽末吉さんのことを勉強中なので、毎日この本を読んでいます。
この本やエッセイを読みながら、また赤羽さんの絵本の絵をじっくりと見ると、赤羽さんの絵にかけられた情熱やこだわりがいかにすごいものであったかが伝わってきます。
私が最初に感動したのは、150ページのこの言葉でした。
「私が満州から引き揚げて、都営住宅のささやかな庭に、花をいっぱい咲かせてそのなかで子どもたちを遊ばせた。
子どもは花を意識せず、賞でもしない。しかし、美しい花々はかならず子どもの心に作用していると思う。子どものだいじな環境を作っている絵本は、この花々でなければいけない」
今、絵本が消費されるように出版される時代にあって、二年がかりで『スーホの白い馬』を描き直し、ある作品には五年がかりで、
絵を描く時はどんな和紙に描くかその和紙の選定にこだわり、日本の自然を描く中間色を出すことに力を入れるような絵本作家さんがおられるのだろうかと思います。
一作一作に正に入魂の思いで向き合った画家だったのだなあと改めてその偉大さ、絵の素晴しさを再発見しているところです。
小澤俊夫さんに、赤羽さんの昔話絵本が最後の昔話絵本と言わしめた赤羽さん。
その大いなる遺産といえるべき作品群を、子どもたちに伝えていきたいなあと思いました。