くたびれたテディベアの表紙に興味を持ちました。
ドイツの工場で生まれ、デビッドの誕生日に両親から贈られたもの。
この時代のドイツということは、マルガレーテ・シュタイフ社のものですね。
これは本物、いえ元祖テディベア。
デビッドと親友オスカーによって名付けられました。
名はオットー。
テディベアオットーの経験したことを、彼の目を通してこの時代について語らせています。
“人はだれもが同じ「人間」なのに”の言葉は、痛烈です。
戦争と差別が、数奇な運命をオットーに経験させ、この物語を引っ張っていきます。
私たちの世代は、経験していない戦争。
このテディベアに教えられます。
“平凡だけど平和な人生、ゆったりと流れる時間”も、胸打たれました。
骨董屋の主人が、修復しながら、オットーにかける「おまえは価値のある人形」という言葉を、 私は、この絵本の読み手として、“語り手オットーの真価”に同意し賞賛します。
数々繕われた跡は、オットーがあの時代を生きた歴史でした。
エンディングが、お話ならではの感動でした。
お話し会に使ってみたいと思いました。
高学年でしょうね、惨劇の挿絵に耐えうるのは。