「トムとジェリー」はアメリカの1950年代のアニメだが、今でも人気が高い。
いつもネズミのジェリーに騙されているばかりの猫のトム、そんな二匹によるドタバタ劇だが、猫とネズミの関係はどうも古今東西同じらしい。
その訳は、どうもうんと昔、神様がその年の代表を動物たちの中から決めると発表したところかららしい。
ネズミは猫にその集合日を騙して教えて、干支、つまり12匹の動物、から猫がはずされたということで、それ以来猫はネズミを追い回しているのだという。
もし干支に猫がはいっていたら、人気アニメ「トムとジェリー」は誕生しなかったのだ。
干支は日本人にとっては欠かせない。
誕生年を聞く際にも、それだと干支は何何だねと必ずくっつける。同じ干支でも一回り違うんだ(つまり、それだけ年上あるいは若い)というぐらいに、日常的にもよく使う。
十二支の最初はネズミ。でも、どうしてネズミなの、って誰もが思う。もっと大きくて強そうな動物がいるのに、どうしてネズミから始まるの?
どうしていのししが最後なの?
子どもなら一度は考える疑問。
そんな疑問に答える昔話を絵本にしたのが、この絵本。
正月ならではの絵本だ。
今年(2014年)は午(うま)年だが、ネズミから始まる干支の7番めに馬がはいって、そのあとに羊が来るのか、この絵本ではどちらかというとすっとスルーされている。
足の速い馬なら、もっと上位をねらえたはず。せめてへびよりは神様の門に早く到着したのではないか。
誰もがそう思うだろうが、これは昔話だから、そう真剣にいっても埒がない。
ここはひとつ大人の対処で、馬はなんとか7番めと覚えておこう。
一番最初にこの話を考えた人も、たぶんはそうして干支に猫がはいっていないのかという疑問から始まったのだろうから、足の速い馬であっても、7番めにするもっともな理由は考える必要はなかったのだろう。
干支から選のもれた動物は猫以外にもいる。
有名? なところでは狐とタヌキ。蛙なんかもはいっていてもよさそうだ。
どこかの政党が影の大臣を選んだように、影の干支があっても面白いかも。
「何年?」「今年の干支の、もぐら。年男なんだ」、なんて。