まず,田島征三さんの自由で力強い絵に驚きました。(最初は,息子もいつもの絵本と違う絵に少しとまどっていたようでした。)
こんび(体のあか)から生まれた「こんびたろう」は,百かんめの金棒を片手に修行の旅に出かけました。そして,その力の強さから,「ちからたろう」と名を変え,化け物を退治し,最後はみんなで幸せに暮らしました。
たろうの力強さがよく表現されていて,豪快で愉快な絵本です。息子も「あか」から生まれた子供が大活躍するお話を十分楽しんだようでした。
しかし,作者の今江さんの後書きには,「ちからたろう」の力は,東北の虐げられた農民たちの貧しさから生まれた力であり,絵本の最後の農民が豊かに,武士が小さくなって暮らす世界は,その農民の夢見るユートピアだと書かれています。
今の息子にはこの昔話の楽しさを味わってもらうだけでいいと思いますが,少し大きくなった時に,昔話の持つ違った面も教えてあげなければと思いました。