『大どろぼうホッツェルンプロッツ』のプロイスラーと『リヤ王と白鳥になった子どもたち』のスピリンの作品。
『リヤ王と…』と同じように中世の伝承世界の重厚さを持っています。
3人の兄弟が、象牙でできた角と純金の蹄と宝石を額に輝かせたユニコーン(一角獣)を捉えに長い長い旅に出かけます。
途中で一番年上の兄は宿屋の娘と結婚して幸せになります。
二番目の兄は砂漠で見つけた金塊で家を買い大金持ちとして留まります。
末弟のハンスはさらに長い旅をつづけてユニコーンと巡り合います。
それからさらに長い年月が過ぎて、故郷に戻ったハンスは子どもたちにユニコーンの話を聞かせます。
子どもたちは森にまだユニコーンが暮らしていることを聞いてほっとします。
ハンスとユニコーンの生活はどんなだったのでしょうか?
すっかり年老いてしまったハンスですが、なぜかしあわせそうです。
この絵本には、悪やドキドキさせる闘いの要素はありません。
兄弟も仲が悪いのでもなく、それぞれに幸せに暮らし始めます。
ハンスがどうなのかが一番のポイントですが、後悔するような旅ではなかったようです。
ユニコーンとの対決を期待して読み始めると物足りないのですが、なぜかほっとさせるお話でした。