この絵本は一編の詩がもとになっています。
作者である蒔田晋治さんが中学2年生の担任だった時に生徒に呼びかけた詩です。
だから、よく読むと、先生の顔が見えるようですし、先生の声も聞こえてきそうです。
先生の呼びかけにまなざしをむける子供たちの表情も見えてきます。
蒔田さんは1925年生まれ(2008年逝去)、85年まで公立の小・中学校で先生として働いていたそうですから、この詩もその頃のもの。
それが2004年に長谷川知子さんの絵と手書きの文字で生まれたのが、この絵本。
絵本になって、読者層がうんと広がったことは間違いありません。
蒔田さんはこの詩を中学生の生徒に向けて書きましたが、教室でまちがうことに不安に感じているのは小学生も同じ。
さらにいえば、教室での生活を初めて経験する小学1年生はその不安が大きいと思います。
そんな子供たちへ、「教室はまちがうところ」だよ、「はじめからうまいこと言えるはずない」と教えてあげて欲しい。
世界をみれば、まちがいに満ちている。
「まちがったって誰かがよ/なおしてくれるし教えてくれる」、世界はそう簡単ではないだろうが、少なくとも学校の教室ではそうであって欲しい。
この詩のおしまいは、「そんな教室 作ろうや」という先生の熱いメッセージになっていますが、間違ってもおかしくない、正しい答えを互いに出し合う、そんな教室をつくるのは子供たち自身だと、教えてあげて下さい。