LD(learning disabilities:学習障害)を取り上げた実に骨太の作品です。
LDとは、知的発達に目立った遅れはないのに、学習面で特異なつまずきや習得の困難さを示す子どもに対して使われる新しい教育用語のこと。
この絵本は、作者であるパトリシア・ポラッコの自伝的物語とのことで、なるほど主人公の名前も、トシリャになっていました。
小学校に入り、LDの症状に悩まされ、仲間はずれにされるものの、5年生の時にフォルカー先生との出会いが、その先を180度変えたという物語です。
トリシャは、どうしても字が読めなかったのです。
何と言ったって、実話なのですから、心への響き方が違います。
一頁一頁が、心の魂を激しく揺さぶります。
特に最終頁は、涙なくして読めません。
フォルカー先生と30年ぶりに再開を果たした時の会話で物語は終わります。
「トリシャです。
先生のお陰で、人生が変わったのです」
先生は、私を抱きしめました。
「どんな仕事を しているの?」
「信じられますか?こどもの本を 書いているんですよ。
先生、本当に 本当に ありがとうございました。」
パトリシア・ポラッコの描く絵は、とても臨場感に溢れていて、楽しさ・悲しさが切に伝わってくると思います。
さらに、読書の素晴らしさ、家族特に祖父母との触れ合い、先生と生徒のあり方など、多くのことを教えてくれる絵本です。
小学校中学年くらいになったら、是非読ませたい絵本ですが、大人にも読んで欲しいと思います。
また、世の先生方にもオススメしたい絵本です。
彼女の他の作品も読んでみたくて仕方ありません。