逃げていいよ、は、もはや世の常識となりつつある。
逃げ方は歳相応に成長していかねばならないが、この世知辛い世の中、逃げる時は逃げなければならない。大人だってそうしている。
常々子供には言っているが、こう言われて育つと、何が何でも逃げてはいけないと思うのかやたら頑張る子になってしまった。難しい。
そんなところから戦争へ話が発展するとは思わなかった。
まず戦死した兵士の絵が、いつもの西原風の絵ではあるが、それでもショッキングだった(別にエグくはないですよ)
その兵士と話し、ついには貧困がループしていることに気付いた時の衝撃。
読後呆然。あんぐり口を開けたまま頭だけがせわしく動いていた。
厨二病真っ盛りの我が子を呼び、読んで読んでと薦めてみた。
うさんくさそうに手にとって貪るように読み、すぐ二度見してやっぱり兵士のところで止まった。
夢に出そうだと言いながら、何度も何度も読み返していた。
これがいじめから逃げてもいいよだけなら、なによりもきれいごとを敬遠するYA世代は読まないだろう。そこが西原さんだな、真正面から切りこんできて気持ちよいと思った。
しっかりヤングアダルトにも届いたようだ。本当はみんな、世の中の真実を知りたいのであって、きれいごとでは心の濁りは晴れません。
理解されずしんどい子、正論にうんざりしている子、オススメです。