1945年に発表された児童書。北欧の自然豊かな田舎に暮らす子どもたちが、のびのびと遊んだり、イタズラしたり、季節の行事に参加したりする様子が生き生きと描かれた短編集。
もうすぐ8歳になるリーサ嬢が、その日にあったことを絵日記に書くような形で、物語は少しずつ進んでいく。村の様子や、住人たちの性格、犬や猫との交流、男子と女子がわいわいがやがやケンカしつつも一緒に遊んでいる様子などは、自分の子ども時代の体験を思い出させる場面も多く、田舎で育った大人は多かれ少なかれ共感するところが多いと思う。
逆に、今の子どもたちはこの作品をどのように感じるのだろうか?
私の故郷などでは、どんどん木を切って、道路は舗装され、神社や公園、児童施設は老朽化などを理由に撤去され、破壊され、つまらない共同住宅が建っていく。私が子どもの頃は、通学路にお寺やお墓、神社、田んぼ、誰のものだかわからない森などがあり、勝手に入って花を摘んだり、お化けが出るとか騒いだり、虫や小動物などを追いかけたりできたけど、今はどうだろう?
スマホやゲーム、塾通いに忙しい子どもたちが、はたしてやかまし村の子どもたちのような遊び方をどういう風に見るのか?
理解できるかな?想像できるかな?体験したことがないから、「わけがわからない」で終わっちゃうのかな?それとも、憧れるのかな?…
読後、このレビューを書くにあたって、そのようなことを考えてしまった。昔の本は、もちろん昔の時代で、昔の環境だったから、それを体験した人なら、年齢問わず楽しめると思う。
それとも、身近に体験したことに置き換えて、想像して楽しむのだろうか。…いずれにしても、子どもの気持ちというのは共通だと思うから、男の子と女の子の意見の違いなんかは、今でもわかる。暮らしはどんどん変わっても、人間の心の仕組みは変わらないものだと、しみじみ思った。