おばけのアッチの友達、ネズミの兄弟の弟が病気になった。食欲がない弟に、双子の兄はアッチと一緒にフルーツポンチを作った。下手くそな出来上がりだけど、弟は喜んで食べ、元気になった。
しかし、天涯孤独のアッチは、兄弟が仲良くしている様子がうらやましくてたまらない。自分にも兄弟がいるのでは?という思いが、アッチを真っ黒な森にいざなう。そこで見たアッチの兄弟とは…
一人っ子は兄弟が欲しいと思うらしい。兄弟がある子は一人っ子がうらやましいと思う。ないものねだりは、いつの時代も共通だと思う。
アッチには家族やきょうだいの記憶がないようだが、多分、幸せな経験があったのだと思う。そうでなければ家族を恋しいとは思わないと、私は思う。
家庭内で温かいコミュニケーションがなかったり、暴力を受けたりしていると、「家族」=「敵」「有害な存在」という認識になる。私は兄弟があったが、折り合いが悪く、お互いに「あの人がいなければいいのに」と思いながら育った。実家を出てからは、音信普通で今は生死も不明。「きょうだい」と言っても、いろいろある。この話を読んでいて、子どもの頃、見聞きしたいろいろなきょうだいの様子を思い浮かべた。