はっきり覚えている表紙の赤と裏表紙にまでまたがって、ちょっとこっちを向いてくれているゆったりとしたグレイのかばくん。もうそれだけで楽しくなってしまいます。表紙を開けば詞も絵も余計なことは言わないで、メリハリのあるリズムで惹きつけ、子供の想像を存分に膨らませてくれます。あ、かめくん。あ、かばくんだけで、ああ仲良しなんだ、これから何があるんだろうと次を見たくなってしまいます。もう、昔のことで細かいことは覚えていませんが、私も息子も「おきてくれかばくん、どうぶつえんはもう11じ・・・・」と今でも絵本を見ないで言えます。岸田衿子さんと中谷千代子さんの上質な優しさが、心地よく心に残る絵本です。