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文庫版 少年探偵・江戸川乱歩(7) 透明怪人」 その他の方の声

文庫版 少年探偵・江戸川乱歩(7) 透明怪人 作:江戸川 乱歩
絵:藤田 新策
出版社:ポプラ社
税込価格:\660
発行日:2005年02月
ISBN:9784591084182
評価スコア 3.5
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  • どちらかというと大人向けの読み物。
    1951年、光文社発行の少年雑誌「少年」に1月から12月にかけて連載されたのが最初のようです。

     透明人間というと、個人的にはなんとなく昭和のコントや、SFの古典名作作品という印象があって、どちらかというとユーモラスな、あまり怖くない気がします。
    しかし、この作品はそんなことは全くなく、スリルがあります。
    事件を追いかけると、透明人間がいて、それを作った博士がいて、その悪の組織と戦うようなシリアスな展開になってきます。読み応えがあります。
    どうやって透明人間をつくったのか?当時の科学技術で可能だったのか?それともトリックなのか?いろいろな疑問が次から次へと湧いてきて、先が楽しみになり、ずんずん読んでしまいます。

    この文庫版になる前の、大型本の時に書かれていた乱歩先生の長男、平井隆太郎さんのあとがきによると、乱歩先生は「科学的にできないと思われるような物は書かなかった」とのこと。
    実際にトリックが実現できるかどうかは別として、やったらできるであろうものを使って、いかにも本当にありそうなものを書くことに腐心したそうです。
    子ども相手だからといって、適当に夢物語で誤魔化さず、具体的にできるようなトリックを考えて物語を作った、乱歩先生の心意気、子どもに対する真摯な姿勢に頭が下がります。

    読んでいると、あまりにリアルすぎて、ぞっとするような時がよくあるのですが、納得しました。リアルさを追求された結果なのですね。
    子どもは意外と、「これって本当にできるのかな?」ということを、容赦なく追求するところもあります。そんな子どもの性質をよくわかって、尊重して書いたからこそ、今に残る名作になったのではないでしょうか?

    投稿日:2017/01/22

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