2020年刊行。味噌汁などでおなじみのわかめが、どのような環境で育ち、成長し、次の世代を残す様子を生き生きと描く。わかめの料理や、養殖について、海藻の種類など、補足情報もしっかり盛り込んである。
毎日食べているのに、知らないことだらけで非常に驚いた。
わかめの一生は、実に冒険的で、積極的に動き(実際に、遊走子:ゆうそうし、という形で海の中を泳ぎ漂う)、どんどん育ち、成長したら子孫を残して潔く散っていく。太く短く生きる激しさがあった。
味噌汁のなかでゆらゆらしている姿からは、想像もつかないドラマチックな人生であった。
わかめになったつもりで絵を見てみると、生まれたばかりの遊走子の時には、巻貝に食べられる危険があり、夏を超すまで岩の陰に隠れて暮らしている。巻貝は巨大な殺戮兵器のような迫力で迫ってくる。生きのこることは、大変だ。
わかめの養殖の様子もわかり、養殖の前の様子もわかったので、これからはありがたく感謝して、いただこうと思った。
海藻が好きな大人にも、是非とも読んでいただきたい一冊。
身近なもののことを知ると、毎日が楽しくなる。