5歳〜10歳くらいまでの子どもたちの前で、急遽ピンチヒッターで読み聞かせを行う事になりました。用意されていた絵本が「どろぼうがないた」でした。
丘の上で暮らすどろぼうは、間違って「芽」を盗んできてしまいます。その偶然の出会いをきっかけに、そのすさんだ生活が少しずつ変わっていき、どろぼうはついに盗みから足を洗うのですが・・・。
やっと人間らしい生活と心を手に入れたかに思われたその時、愛すべき芽を失ってしまいます。大切なものを失って、初めて流した涙。どろぼうにはとても悲しい出来事ですが、愛しいものを失う悲しみを知った事で、どろぼうは今まで自分がしてきた罪の重さに気付き、本当の意味で立ち直れたのではないでしょうか?
初めて読む絵本だったので、パラパラと簡単に目を通してから読み聞かせをしたのですが、私はてっきり「悲しい結末」だと思い込んでいました。しかし、子どもたちの「あ〜、良かった!」の感想で、本当の結末がハッピーエンドであることに気付かされました。子どもってすごいですね!大人がつい見落としてしまいがちな、「本質」を見抜くチカラを持っています。
ストーリーがとてもよく考えられていて、その繊細で独特なタッチの絵も素晴らしいです。読み聞かせるなら5歳から。小学校高学年くらいまで対象になると思います。大人が読んでも感動できる、久々に出会った力作の絵本です。