インドで、路上で無料の図書館を長年行っているおじさんと、常連客の少女の話。
無料で文字を教えたり、教育が受けられなかった人たちのサポートをしている「まちかど図書館」のおじさん。
毎日1冊は本を読むことを楽しみにしている少女と、その友達たち。
学校の先生、アパートの住民、バスの運転手、選挙に立候補している人たち…それぞれの人生が鮮やかに目の前に広がり、それぞれの思いや、野望、来し方までもが見えてくる。
思ったことをはっきり表現して、人生を楽しみ、自分の哲学や大事にしているものをしっかり持って生きているインドの人々が、生き生きと描かれている。
お話は、インド映画のような大どんでん返しや、思わぬ展開にハラハラしながらも、最後はハッピーエンド。
文字が大きくて、そんなに長い話ではないのに、心に迫って来る場面が多く、考えさせられたり、感情移入するところが多くて、読み応えがあった。2時間くらいの映画を見たようにエネルギーを使った読書体験だった。
この話で一番心に残ったのは、おじさんの生き方。
教育者として大事な事や、人として大事なこと、ひとりひとりの幸せが地域社会や世界の幸せにつながることなどが、よくわかった。
本を通して、素晴らしい叡智に繋がり、主人公の少女と共に、読者も成長していける素敵な物語りだと思った。
キャラクターが全員、濃いので、その一人ひとりにも物語が想像できて楽しい。
生きることの厳しさや、人のずるさや面倒なところも、全部描かれていて、容赦なく人間を堪能できる物語でもある。
心に残った。