友人とアリス館の本について話していたら「『アレクセイと泉のはなし』のその後が知りたいから、アリス館に出してほしいな」と言うので
どんな本かと思ったら、チェルノブイリに関連の本ということがわかり、読んでみることにしました。
少し前、チャルノブイリの医療に携わられたチャルノブイリのかけはしの野呂さんの講演会映像を見たことがあります。
それがこの絵本と同じ場所のベラルーシのことでした。
チャルノブイリから離れた場所にあるベラルーシも放射能汚染地域があります。
この絵本の主人公のアレクセイと55人のお年寄りはこの村に住み続けています。
農業を主体とした村では、土地を離れることは生活がなりたたなくなるということを意味するのです。
今、チェルノブイリの医療に関わられた管谷さんの『チェルノブイリいのちの記録』を読んでいるところですが、
ベラルーシは貧しい国のようです。野呂さんによると、食べ物も自給自足の地域ということでした。
ただ、この村にとって唯一の希望となったのは、100年以上もかかって湧き出たという泉の水。
その水は奇跡的に放射能が検出されてはいないのです。
写真には広大な土地が映し出されて、青空も抜けるほど美しい。それなのに、目に見えない放射能に汚染されているのです。
この写真の風景は、避難を余儀なくされた今の福島の美しい市町村の風景と重なります。
生きているといろいろな理不尽な目に遭うことがあります。
生まれ育った故郷を自分のせいではなく、離れなければならなかったり、汚染されていると知りながら住み続けなければいけないこと。
写真に映し出されている風景はどこまでも美しく、また人々も笑顔なのです。
読みながら、心が痛み胸がつまりそうになりました。
人間も自然の一部であるということは忘れてはいけないし、放射能によって命の連鎖がそこで途切れてしまうかもしれない恐れを強く感じました。
このアレクセイは今も元気で過ごしているでしょうか。元気でいてほしいと思います。