原田泰治さんの絵の一つ一つには、日本の情景、心の情感、そして物語があります。
その意味で、物語の中で絵をつなげていくこととは、少し違う作家のように思っていました。
この『やまのおみやげ』は、『とうちゃんのトンネル』や『さだおばさん』のようなドラマはありません。
田舎を始めて一人で訪れた僕が、山間の村祭りとこれから向かう冬、村の生活を体験してまた町に帰るという、シンプルなお話です。
しかし、他の2作と、一連の画集の中間にあたる絵本として素晴らしさを感じました。
この絵本の主役は絵です。はっきりと絵を主にしておはなしを分けています。言葉のないページでは絵が一面に広がります。
つながりのある絵として、原田泰治さんのファンにはたまらない絵本。
この中に子供に伝えたい、日本の情景があふれるばかりに納められています。